この記事を読んで下さっているみなさま、こんにちは!エコスタッフ・ジャパン株式会社(ESJ)の石中です。
このコラムでは、主に「産業廃棄物に関する基礎知識」や「環境に関する時事ニュース」について取り上げて解説しております。
「マニフェスト」は、正式名称は「産業廃棄物管理票」といい、
排出事業者が自社の産業廃棄物の処理を処理事業者に委託する際に、
毎回必ず交付することが必要な書類です。
委託する産業廃棄物の種類や性状、有害物質の含有の有無、数量等に関する
情報をこの伝票に記載し、処理事業者に伝えます。
また、処理を委託された処理事業者は、収集運搬や中間処理、最終処分等の
終了日などをこの伝票で排出事業者に報告します。
産業廃棄物が適正に処理されたことを記録として残し、保管するために、
必要な伝票が「マニフェスト」です。
マニフェストの記載内容は主に下記の通りです。
下記の項目について、きちんと確認しておくことが大切です。
① 交付年月日
② 交付担当者
③ 排出事業者情報(氏名・住所・排出場所)
④ 産業廃棄物情報(種類・名称・数量・荷姿)
⑤ 有害物質等の有無
⑥ 処分方法
⑦ 収集運搬に関する情報(氏名・住所・運搬終了日)
⑧ 処分に関する情報(氏名・住所・処分場所・処分終了日)
⑨ 最終処分に関する情報(氏名・最終処分場所・最終処分終了日)
紙のマニフェスト伝票は、A票からE票までの7枚綴りになっています。
(積替え保管を行う場合は、8枚綴りのマニフェストを使用します)
各票の役割は下記の通りです。
A票…排出事業者の控え、廃棄物が排出された時に受取り、保管
B1票…収集運搬事業者の控え、運搬終了時に受取り、保管
B2票…排出事業者の控え、運搬終了後に送付
C1票…処分事業者の控え、処分終了時に受取り、保管
C2票…収集運搬事業者の控え、処分終了後に送付
D票…排出事業者の控え、処分終了後に送付
E票…排出事業者の控え、最終処分終了後に送付
(出典:全国産業資源循環連合会)
収集運搬事業者や処分事業者は、運搬や処分が完了した後、
下記の期日までにそれぞれの伝票を排出事業者に返送する必要があります。
【普通の産業廃棄物の場合】
・B2票(収集運搬):90日以内
・D票(処分):90日以内
・E票(最終処分):180日以内
【特別管理産業廃棄物の場合】
・B2票(収集運搬):60日以内
・D票(処分):60日以内
・E票(最終処分):180日以内
もし、期日までに返却がなされない場合は、委託先の処理業者に
自社の廃棄物の処理状況を確認する必要があります。
加えて、所管の自治体に、「措置内容等報告書」を提出しなければなりません。
法令通りにマニフェストの運用を行わなかった場合は、
罰則に課せられる場合がありますので、注意が必要です※
(※第2回「排出事業者責任」でも学びましたね)
また、処理が終わった後も、マニフェスト伝票は5年間保管することが法令で定められています。
マニフェストには「紙マニフェスト」と「電子マニフェスト」の2つがあります。
「電子マニフェスト」は、(公財)日本産業廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストシステムを介して、
ネットワーク上でマニフェストの起票、登録、修正などを行うものです。
それぞれの特徴は次の通りです。
以前は紙マニフェストが主流でしたが、電子マニフェストも上記のメリットなどから徐々に普及し、
現在は大部分が電子マニフェストで運用されていると推計されています。
参考:
JWNET「登録件数・電子化率(https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/regist/index.html)」
さて、第5回目となる「マニフェストについて」、ご理解頂けましたでしょうか。
ポイントとしては、
・マニフェストの目的を理解し、正しく運用すること
・記載されている情報を、きちんと確認すること
・マニフェストの返却が遅いなと思ったら、早めに委託先に確認する
・マニフェストには「紙マニフェスト」と「電子マニフェスト」の二つがある
・紙マニフェストは、廃棄物の処理が終わった後も5年間保管する
の5つを覚えて頂ければ大丈夫です!
次回の投稿も是非、読んでみてくださいね!!
・出典:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000137)
・出典:公益社団法人全国産業資源循環連合会「マニフェスト」
(https://www.zensanpairen.or.jp/disposal/manifest/)
・出典:JWNET「マニフェスト制度とは」